事業承継には、これまでに紹介した「財産の相続」と共通する部分と、「会社支配権の相続」という部分があります。
事業主であった方は、会社を興し、成長させ、会社と共に苦労されました。その苦労の多くは、資金繰りであったはずです。そのため、事業承継についても、節税という判断基準を優先される傾向があります。
しかし、事業主であった方は、会社の株式の大半を保有し、会社の支配権を握っていたから、経営に集中できたはずです。事業を引き継ぐ方(承継者)にも経営に集中できる環境を整えてあげる必要があります。重要なのは、「いかにスムーズに事業を引き継ぐか」という判断基準で考えることです。承継者が、会社の支配権獲得で苦労せず、経営に集中できる環境を作ってあげることが、会社のさらなる成長につながります。
財産に関する相続については、「相続させる人」「相続する人」のページをご覧ください。ここでは、会社支配権の譲渡について紹介いたします。なお、これらの方法は、税理士・司法書士の協力が必要になってきます。
種類株式の利用・定款の利用
株式を集中させたり、分散を防止する方法として、自社株式の取得、定款に、株式譲渡制限条項・相続人に対する売渡請求条項を設置する方法があります。また、議決権をコントロールする方法として、議決権制限株式、拒否権付種類株式という方法があります。
これらの多くは、定款を変更する必要があり、そのために、少なくとも議決権の3分の2以上の賛成の確保が必要です。また、株式を取得するには、原則として、その資金が必要になります。様々な方法がありますが、現在の制度から、会社に置かれた状況によって、オーダーメイドで対応策を検討していく必要があります。
費用
着手金(税別) | 報酬(税別) | |
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種類株式の立案・定款の変更 | 25万円~ | 25万円~ |
会社分割
事業主の方の会社に複数の部門・収益物件があり、複数の相続人がその会社にかかわっている場合、複数の部門・収益物件を分割し、複数の相続人が引き継ぐ方法として、会社分割という方法があります。その他、事業譲渡、合併という方法もあります。
この方法も、会社に置かれた状況によって、オーダーメイドで対応策を検討していく必要があります。
費用
着手金(税別) | 報酬(税別) | |
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スキーム構成・契約書作成 | 25万円~ | 25万円~ |
信託
事業主の方が所有する財産の大半が自社株の場合、その株式を承継者に渡すと遺留分を侵害してしまう場合があります。そして、遺留分減殺請求をされると、承継者が全ての株式を取得できなくなる可能性があります。
このような場合に、信託を利用することで、会社支配権の分散を避けることができます。つまり、株式には、会社の経営を決める「議決権」である共益権と経済的利益を享受する自益権があり、信託を利用することによって、この2つを分けて譲渡することが可能になるのです。自益権は事業を承継しない相続人も取得する一方、議決権行使の指図権を承継者のみに集中させ、共益権は承継者のみが取得するという形態をつくることもできます。なお、これは、議決権を制限した種類株式を発行したのと同じような状態です。
また、事業主の方には、生前に、議決権をすべて承継者に譲ってしまうことに躊躇を覚える方もいらっしゃいますが、信託を利用すれば、議決権は事業主の方の生前は、事業主、死後は、承継者が行使するようにすることもできます 。一見、遺言と同じようですが、遺言と異なり一方的な書き換えができないことから、承継者は安心して事業に専念することができます。デメリットは、信託が終了すると、受益者に株式が帰属してしまうので、それまでに対策を立てる必要があります。この方法も、会社に置かれた状況によって、オーダーメイドで対応策を検討していく必要があります。
費用
着手金(税別) | 報酬(税別) | |
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スキーム構成・契約書作成 | 25万円~ | 25万円~ |